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沖縄県 久米島町様

沖縄県 久米島町様

Wi-Fi網で地域活性化を加速
住民・観光客向けに多様なサービスを提供

業種自治体・公共業務その他業務
製品UNIVERGE製品(LAN/IPテレフォニー)ソリューション・サービスプラットフォームサービス,スマートデバイス活用ソリューション

導入前の課題

人口1万人への回復を目標に掲げ、世界最先端の5大事業に着手

久米島町 町長 大田 治雄 氏久米島町
町長 大田 治雄 氏

沖縄本島から西へ約100kmの東シナ海に位置する久米島町様は、「日本の渚100選」に選ばれたイーフビーチや東洋一の美しさといわれる砂州の「ハテの浜」をはじめ、島の随所に優れた景勝地を擁しています。また琉球王朝時代の数々の城跡など歴史的な文化遺産にも恵まれ、島全体が県立自然公園に指定されています。加えて、2008年には北部中央にある宇江城岳周辺が、湿地の保存に関する国際条約であるラムサール条約に登録されました。さらに最近は、プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスのキャンプ地としても話題になり、毎年春先には大勢の見学者で賑わいを見せています。
地域の産業に関して、久米島町長の大田治雄氏は次のように語ります。「農業と観光が旧来からの主要産業に位置付けられますが、近年は海洋深層水を活用した海洋温度差発電などの複合利用による新規事業にも力を入れ、軌道に乗り始めています。こうした先進的な取り組みに対して、世界的な注目も集まっています」

ただ、行政の観点では少なからぬ悩みを抱えているのも確かです。「出生率は全国2位と高いものの、高校卒業とともに島外に移住する転出者が多いため、長年にわたって人口が漸減傾向にあります。それに伴い、主要産業の不振が課題となっています」と、大田氏は打ち明けます。
このような課題をクリアし、地元の活性化を図るにはどうするか――。久米島町様では、「定住人口を現状の8000人台から、島内に活気があった1990年代当時の1万人まで回復させる」ことを目標に掲げ、具体的な施策として世界でも最先端の取り組みとなる5つの事業――1)島内電力の100%再生可能エネルギー化、2)全島規模のWi-Fi網とアプリケーションサービスによるICT基盤の整備、3)準天頂衛星からの信号を利用した自動走行車両の交通管制システム実証実験、4)海洋深層水を使った植物工場と冷蔵コンテナによるコールドチェーン構築、5)先進的な離島ICT教育モデルの構築、に着手しました。

導入の経緯

NECをパートナーに「ICT街づくり」のプロジェクトを推進

久米島町 プロジェクト推進室 室長 中村 幸雄 氏久米島町
プロジェクト推進室
室長 中村 幸雄 氏

事業推進の特命を担い町長直轄の部署として設置されたプロジェクト推進室の室長 中村幸雄氏は、「ICT基盤の整備は、過疎化対策というだけでなく、地域活性化のあらゆる事業のベースになるとの認識で、当初から『いつでもどこでもIT機器を使える環境を構築する』ことを目指しました」と話します。
その方策についてITベンダーなどと検討を進める中、相談相手の1社だったNECからの提案が興味を引きました。それが、住民や観光客が利用できる公衆Wi-Fi環境を全島規模で整備するというものでした。
さらに、Wi-Fiを有効活用するためのアプリケーションについても議論を重ね、NECが他の自治体などでも導入実績をあげているAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を使った観光客向けサービスを提供する一方で、地域の循環経済への寄与を狙った農産物の地産地消サービス、高齢化対策としての見守りサービス、住民の安心・安全の向上とともに各種情報発信への応用も見込んだ防災情報サービスといった住民向けアプリケーションの開発にも力を注いでいくこととしました。
こうした大がかりな取り組みを進める上で、タイミングよく国家施策の後押しも受けることができました。最先端のICTを活用した新たな街づくりの実証プロジェクトとして総務省が展開していた「ICT街づくり推進事業」に「豊麗のしま-久米島地域経済活性化プロジェクト」の名称で応募し、委託候補地の1つに選ばれたのです。

用途の違いを考慮し、住民向けと観光客向けでシステムを個別に構築

久米島町 プロジェクト推進室 主任 幸地 和史 氏久米島町
プロジェクト推進室
主任 幸地 和史 氏

ICT街づくり推進事業に採択されたのが2013年6月。Wi-Fiインフラや各システムの仕様を詰め、同年9月から約4カ月でシステム構築を完了しました。これと並行して、サービス開始後の運用体制にも目を向け、関連部署の担当者や関係者も交えた協議会およびアプリケーションごとの分科会を設けて検討を進めました。そして、12月には記者会見や住民向け説明会を兼ねたシンポジウムなどを開催し、公衆Wi-Fiおよび各アプリケーションのサービス提供へとこぎつけました。「タイトなスケジュールの中でやるべきことも非常に多かったのですが、NECの全面的な協力ときめ細かなサポートのおかげで、計画通りにプロジェクトを進めることができました」と中村氏は振り返ります。
Wi-Fi環境については、島内各地区の公共施設や学校、民間の宿泊施設など計23カ所にアクセスポイントを配備し、屋外であまねくインターネット接続を可能にしました。島の西部にある久米島空港とフェリーターミナルには屋内用アンテナを設置して施設内でもWi-Fiを利用できるようにしています。
また、住民と観光客では用途や利用形態が異なることを考慮して、システムを分けて構築しました。住民向けシステムは、高度なセキュリティの確保を重視し、事前登録で発行したID・パスワードによるアクセス認証の仕組みを採用。一方の観光客向けは利便性に重きを置いて、セキュアな環境を保持しつつ簡易な手続きで自由に利用できるようにしました。
プロジェクト推進室 主任の幸地和史氏は、「島内で人が集まるエリアはひと通りカバーされていますが、建物の影など電波が届きにくい場所で『つながらない』という問い合わせが寄せられることもあります。これについては、実運用の中でエリアの拡張や再調整を行っていくことにしています」と説明します。

図版久米島町様 ICT街づくりイメージ

観光ARアプリに加え地域に役立つ3つのサービスを開発

公衆Wi-Fiサービスとともに立ち上げた各アプリケーションは、(1)スマートフォン対応ARアプリケーション「久米島観光なび」、(2)地産地消経済サイクルサービス、(3)高齢者・要援護者支援サービス、(4)防災(安心・安全)サービスの4種類です。
観光客向けの「久米島観光なび」は、NECの「UNIVERGE ARソリューション」をベースに開発されたもので、スマートフォンにアプリケーションをダウンロードすれば誰でも利用できます。主な機能として以下が提供されています。
ⅰ)おさんぽAR:スマートフォンをかざした方向にある観光スポットや飲食店などの情報を画面上のエアタグに表示。マップ画面で車・徒歩でのルートも案内
ⅱ)スタンプラリー:観光スポットに設置したARマーカーを読み込むことでスタンプを収集できる
ⅲ)クーポン:スタンプラリーで集めたポイントを飲食店や土産店などの割引・特典に利用できる
ⅳ)写真撮影:久米島の風景やご当地キャラなどのフォトフレームを合成して写真撮影。ワンタッチでSNSなどにアップすることも可能
ⅴ)避難場所:島内すべての避難場所を網羅し、災害時にはGPSによって速やかな避難をサポート
住民を対象とした「地産地消経済サイクルサービス」は、農家から提供される通常の流通に乗らない野菜(見切り品や収穫が多かった作物)の情報と、ホテルや飲食店など消費者が必要とする食材の情報をネット上でマッチングするシステムです。現在は、生産者側の対象を露地栽培や家庭菜園を行っている高齢者に絞り、地元のNPO法人が主体となってシステムを運用しています。ポータル画面からの簡単な操作で生産者は出荷作物の登録など、消費者は商品検索や注文手続きなどを進めることができます。また、商品の集荷や配送、決済などはNPO法人のスタッフが担当することにより、実際の取引を効率化した点も特長です。
「高齢者・要援護者支援サービス」は、高齢者にタブレットPCを配布し、簡単なタッチ操作で日々の健康状態の登録、あるいは町役場の職員や保健師に連絡してテレビ電話での通話を可能にしています。久米島町様では以前から、1人暮らしの高齢者を対象に週3回の電話で安否確認を行う「ふれあいコール」というサービスを提供していますが、この新サービスを加えたことで高齢者の緊急対応なども含めた見守り体制が強化されました。

画面「高齢者・要援護者支援サービス」の遠隔見守りサービス画面

「防災(安心・安全)サービス」は、台風や地震などによる災害発生時に「防災メール」を一斉配信するとともに、受信者側から安否情報を登録してもらうことで管理者が現地住民の状況を把握できる仕組みです。従来から防災無線や地域のFM放送での情報提供も行っていますが、双方向で情報を伝えられる点が大きなメリットです。サービス利用は事前登録制となっており、配信メールの種類として防災情報だけでなく、行政情報や町内のお知らせ、小中学校の生徒やPTA向け情報、観光情報なども用意されており、受信したい内容を選択できます。

写真観光施設「久米島ウミガメ館」に設置された公衆Wi-Fi装置

導入後の成果

ガイドブックに代わるメディアとして観光ARアプリが貢献

公衆Wi-Fiサービスの利用状況(接続数)は、住民向け、観光客向けとも月ごとの統計値がかなり変動するものの、両者を合計すると月間1万接続という数値をほぼキープしています。また、住民の公衆Wi-Fiサービス利用登録は、運用開始から約1年で200人を突破しています。
「久米島観光なび」のダウンロード数は2014年11月末時点で累計1800件を超えました。島内のホテルでは従業員が宿泊客にアプリケーションを紹介するなど認知度向上に協力してくれていることもあり、順調な伸びを見せています。「スタンプラリー」を完成させた件数もこれまでに74件あり、観光中の楽しみとして活用されている様子がうかがえます。幸地氏は、「沖縄県の観光ガイドブックなどでは久米島の情報があまり多く掲載されていないので、それに代わるローカルメディアとして島のアピールに役立っていると感じています」と話します。
また、海洋温度差発電や海洋深層水の施設見学に訪れる県外や海外の視察者などからも、島内でWi-Fiが自由に使える便利さに高い評価を受けています。

写真スタンプラリー画面

写真おさんぽAR画面

利用拡大への課題をクリアし住民のメリット向上を目指す

住民向けアプリケーションについては、利用が進むにつれて効果が徐々に上がっている一方で、さらなる浸透に向けた検討課題も見えてきています。
「地産地消経済サイクルサービス」は、2014年11月時点で生産者26名・購買者13名が登録し、累計で約600件・約55万円の取引実績を収めています。幸地氏は、「今までは廃棄していた野菜が多少なりとも収入になり、生産している高齢者のやりがい、喜びにつながっています」と話します。運営主体となっているNPO法人も手応えを感じており、「将来的には町内のみの利用にとどまらず町外、県外も取り込んだ“地産他消”を目指しているようです」(幸地氏)
また、「高齢者・要援護者支援サービス」では、健康状態の入力作業を日課として楽しんでいる利用者もおり、生活の中に新たな潤いをもたらしています。
ただ、いずれのサービスも高齢者が対象となっているため、IT機器に対する苦手意識が利用拡大へのハードルとなっています。「簡易な操作性を開発段階から強く念頭に置き、要望に適うものになったと思っているのですが、実際に使っていただくとなかなか馴染んでいただけないというのが実状です。アプリケーションの改善による使いやすさの追求とともに、利用する方々の習熟度向上のための施策、より認知度を高める活動も重要だと考えています」と、中村氏は語ります。
「防災(安心・安全)サービス」も、緊急時に利用するものという印象が強く、住民への浸透がなかなか進まないことから、利用機会を増やすべく平時の各種情報配信を充実させていく意向です。
大田氏は、「全島にWi-Fi網を張り巡らせ、いつでもどこでもインターネットに接続できる環境を構築し、住民の皆さんには地域経済や暮らしに役立つサービスを、観光客の方々には久米島をより楽しんでいただくための情報ツールを提供できたことは、他の地域に先駆けた取り組みとして非常に大きな意義があったと認識しています。今後、さらにサービスのラインナップを充実させ、住民の皆さんのメリット向上を図り、地域のさらなる活性化に結びつけていきます」と意気込みを語ります。そして、今後の機能拡張やサービス拡充に関して、NECのさらなるサポートを期待しています。

お客様プロフィール

沖縄県 久米島町

町役場所在地 沖縄県島尻郡久米島町字比嘉2870番地 沖縄県 久米島町 様
面積 63.5k㎡
人口・世帯数 8320人・3960世帯(2014年11月末現在)
久米島町概要 2002年4月1日に具志川村と仲里村が合併して誕生した沖縄県内で5番目に面積の広い自治体。有人島の久米島・奥武島・オーハ島と鳥島・硫黄鳥島などの無人島で構成されている。
国指定文化財の久米島紬、生産量日本一のクルマエビ、海ぶどう、泡盛などが特産品。また、14年前に研究所が設立された海洋深層水事業も、現在は1日1万3000トンの取水量で日本一を誇る。
沖縄本島から飛行機で約30分、フェリーで約3時間。海上アクセスの利便性を高めるべく高速船の導入も検討されている。
URL http://www.town.kumejima.okinawa.jp/
写真

久米島町様の取り組みを動画でご紹介

※2015年3月28日 BSJAPAN「マゼランの遺伝子~未来を創る挑戦者たちの海図なき航海」で放送した番組を編集したものです。

この記事でご紹介した製品

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(2015年02月09日)

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