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地球を見つめる星を造って 第4回 看板を背負う男達の自負

押さえるべきところは押さえた

  • 小笠原:話の順番が変ってしまいましたが、唐土さん、津元さんのこれまでの経歴はどのようなものですか?
  • 唐土:入社は1985年です。放送衛星「ゆり3号」を手始めに、「みどり」のサブシステム、「かけはし」「つばさ」「かぐや」といった衛星の組み立てを主に担当してきました。入社した時には当時注目の的であった携帯電話に興味があったのですが、配属された宇宙事業部で「ゆり3号」を担当、長いことアメリカのGE社で作業していくうちにすっかり宇宙に “はまり” ましたね。
  • 津元:私は1986年に、スペース・レーザ通信開発本部というところに配属されました。ここでは主に衛星通信装置を担当していました。衛星の通信装置はかなりの台数を作るものなので、検査の自動化が必須で、そのための測定装置やソフトウエアを作っていました。通信衛星や放送衛星の試験に携わり、「かけはし」では通信系機器の担当でした。2002年打ち上げの技術試験衛星「つばさ」でここにいる唐土と初めてコンビを組みました。「かぐや」「きずな」を経て、2008年から「しずく」を担当しました。
  • 小笠原:先ほど、震災後の「しずく」復旧作業のことをお聞きしましたが、「しずく」の組み立て、検査に関して他に難しかった点はありますか?

衛星試験風景(筑波 総合環境試験棟にて)

写真:直立した状態で高所台車の上で試験中直立した状態で
高所台車の上で試験中

写真:黄色の衛星横転台車(衛星右下に見える)で、衛星を横転した状態で試験中黄色の衛星横転台車(衛星右下に見える)で、
衛星を横転した状態で試験中

  • 唐土:「しずく」が他の衛星と全く異なることは無いのですが、これまでの衛星の設計を活かして、今後の衛星の標準バスを目指していましたので、衛星の設計だけでなく、組み立てや試験の治具や工具も標準化していきました。

    衛星を載せる台車なども、作業者が作業しやすい足の置き場や、回転機構など改良を施しました。衛星を横転する事の出来る台車があるのですが、「しずく」は形状の制約から台車とつなぐ方式がボルト止めでは無く、バンド締めなのです。これには参りました。沢山のボルトで締めていると安心感があるのですが、バンドなので締め方も含めて細心の気配りが必要でした。とはいえ、衛星を横転させるときは正直私でも怖かったですね。(笑)
  • 小笠原:NECの川口プロジェクトマネージャからは、「これでもかと言うほどの徹底的な試験をやった。」と聞いていますが、それだけやると検査の方は大変だったのではないですか?
  • 津元:そうですね、何しろ試験項目が膨大ですから、作業者をいかに配置して効率よく検査を進めるかが鍵でした。作業が深夜に及ぶ時も多いので。私は、今何をやるかの優先度を常に考えて、システムとも何度も調整して何とかスケジュール通りの日程で進めていきました。
  • 小笠原:「しずく」には回転する他社の大型センサAMSR2が搭載されています。これを組み立てて、検査するのはかなり大変なことだったのではないですか?
  • 唐土:前に担当した衛星でも他社の組み立て/検査技術者と一緒にやることは多かったので気心は知れていました。それと各関係者間の事前調整のお蔭で結構上手く運べました。

写真:「しずく」検査リーダー 津元 憲聡「しずく」検査リーダー
津元 憲聡

  • 津元:それでも展開部は難しかったですよ。展開部についている “ヒンジ(ちょうつがい)” はなかなか同じようには動いてくれないものなので、取り付けの精度や、展開後の精度を実現するための調整は大変でしたね。
  • 唐土:推進モジュール(大きな燃料タンクや、配管、ロケットエンジン部分)は衛星の下からモジュールごとすっぽりと入るような構造になっていますが、衛星本体とのクリアランス(すきま)がほんの数cmしかなくて容易に指も入らない、この組み立てはなかなか大変でした。狭かったので、細心の注意を払いました。
  • 津元:とにかく試験で押さえるべきところは押さえた、手順にしたがって全てきちんとやった、そう思っています。
  • 小笠原:衛星がロケットから分離して誕生した時のお気持ちは?
  • 津元:「ほっとした」の一言につきます。
  • 唐土:私には苦い思い出があります。1998年の「かけはし」の打ち上げの時です。ロケットが打ち上がったときに、打ち上げ見学場で私は感極まって号泣してたんです。少し気も静まって衛星管制室に入っていくと、みんなが気落ちしたような顔をしてるんですね。聞いてみると打ち上げロケットの不調で、正常な軌道に投入できていないと言うんです。これはショックでした。
    ですから、今回も私は心のどこかで悪いほうへ悪いほうへ考えてしまっていたのです。ようやく安心したのはAMSR2のアンテナが展開した後でしょうか。
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