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Voyage05 未来への扉

2007年9月14日、日本時間10時31分01秒。

月へ向けて「かぐや」が旅立ったその瞬間から、17ヶ月あまりの時間が流れた。
人工衛星としての基本的な機構、そして15に及ぶミッションを支える計測機器。それらをミッション完了まで無事に稼働させるという使命が、NECにある。発射に至るまでの準備期間にはじまり、打ち上げから月へ向かうまでの軌道修正期間、そして月での観測期間。全ての局面において、1つの失敗すら許されない。準備期間が特に大変だった、とSELENEプロジェクトメンバーの内堀は振り返る。

200

NEC 宇宙システム事業部宇宙システム部 内堀康弘

「搭載されたヒーターの数だけでも、200系統以上もあるんです」
この意味がわかるだろうか。宇宙空間の温度差は、200度にも達する。その中で観測機器を傷めないために人工衛星はデリケートな温度管理が要求される。そこで必要となるのがヒーター。通常の人工衛星の場合は、衛星のサイズにもよるが40~100個程度しか搭載しない。だが、「かぐや」の場合、計測機器の多さからその2~5倍ものヒーターを搭載する必要があった。それはヒーターの作動を管理する煩雑さも倍増したことを意味する。 内堀は、そのヒーターすべてが、設計通りに動作することを確認するテストを実施した。動かなくていいヒーターなど、搭載されていないのだ。

24時間の監視を4週間。折しも日本中がお正月で楽しんでいる間、内堀らは真空チャンバーの中で稼働し続けるヒーターをテストし続けていた。

そこから先はNECしかできない

全てのテストが完了し、種子島での打ち上げを現地で経験した内堀はこう言う。

「かぐや」は、ミッションや観測機器が多かったので最後までテストが困難を極めた。技術者だけでなく、ミッションを担当する研究者の意見も同じだけある。そのすべてをまとめて「かぐや」に反映できるかどうかは、人工衛星の製造メーカとしてどれほどの経験があるかが大きい。NECにはそのノウハウがあり、「かぐや」が完成した。さらに、大気圏を抜け、月を周回させるまでの航路をどう導き出すか。そこにおける知見があるのは、NECのみ。つまり、月へ向かわせるのはNECしかできなかったのだ。

Mission Completed

努力を惜しまぬものに月の女神は微笑んだ。
「かぐや」には重大なトラブルもなく、15のミッションは完了した。それらのミッションはすでに報告されているとおり、レーザーの高度計により、今まで欠けていた月の「北極」と「南極」を観察し、月全球の正確な地図を完成させたり、リレー衛星「おきな」VRAD衛星「おうな」が「かぐや」と連携し、月全体の重力を観察した結果、表面だけではなく月の内部構造がわかったりと、月に関する新たな発見を数多く提供してきた。
月の起源、そして地球の歴史をしる手がかりとしての重要な情報が今回のミッションで得られたわけだ。

「かぐや」が見た月の地形

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月の重力異常図

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さらに月を詳しく知るには、やはり月面に降り立つのが一番である。「かぐや」の役目は終わった。かぐやの意志を継ぐものが、月面で更なる発見をすることになるだろう。

新たな準備の始まり

NEC 宇宙システム事業部宇宙システム部 竹貝朋樹

「かぐや」のミッションにより、我々は月の全球をくまなく見ることが出来た。
次は月面に降り立ち、さらにその場の詳細な表面や内部の観測を行うことになる。
そこで必要となるのが月面を移動しながら観測を行う機械、ローバーである。
「人工衛星は月面に着陸することは出来るが、そこから月面を動き回ることは出来ないため、着陸した場所の周囲しか観測できない。そのため、ローバーによる細部探査が必要だ。」と竹貝は言う。
遠隔操作により無人で移動しながら探索をするローバーが走行する月面は非常に粒子の細かい砂で覆われた柔らかな場所。月面のサンプルを採取する際に必要なアーム類や駆動を支えるサスペンションなど、あらゆる機構に対して防砂対策が必要となる。過去に例がないこのローバーの開発作業、つまり宇宙ロボティクスという分野は、国内ではまだNECのみといっても過言ではない。たとえば、月面走行に欠かせないのが走行場所の地形を把握する「目」の存在。ローバーの「目」の開発にはNECが開発したロボット「PaPeRo」がもつ映像認識技術が検討されている。様々な分野での高い技術力を持つNEC内部でのシナジーが、更なる発見への手がかりとしてフィードバックされているのである。
新たな歴史への一歩を後押しするのは、其処まで辿り着いてきた歴史なのだ。

Final Mission

全ての役割を終えた「かぐや」は、今、月でその生涯を終えようとしている。
「人工衛星と月の存在をぐっと身近にした。「かぐや」はそういう意味でもエポックメイキングだと思う」と竹貝は言う。ハイビジョンによる地球の出のビジュアルは、専門家ですら息を飲んだという。38万キロ彼方に浮かぶ月。表も裏も、「かぐや」は明らかにしてきた。

すべてが終わった。

「かぐや」に与えられた最後のミッション。それは制御落下と呼ばれる月への落下。6月11日、日本時間午前3時25分。最後のミッションを終え、「かぐや」の長い旅はピリオドが打たれた。

制御落下時の運用管制室の様子

宇宙への情熱

「かぐや」としてのミッションは、これですべてが終わった。
だが、新たな胎動は既に始まっている。月への情熱だけではない。太陽系の他の惑星への探究。宇宙が秘めている数々の謎。それらを解いていく原動力となるのは、あくなき情熱と卓越した技術力である。製造からテスト、運用、管理まで一貫して「かぐや」に携わってきたNECだからこそ、その先へも行けるのだ。

宇宙という未来を想う

宇宙という未知の領域で活躍するNECの技術者達。長きに渡って培われたアイデアと技術。そして果てない宇宙への想い。「やはり夜空を見上げる時はありますよ。ちゃんと動いているかなって」と内堀。38万キロ先で、彼らの想いが動き続けた20ヶ月だった。

「今回のプロジェクトですか?100点満点で、200点ですね。間違いなく」と即答した内堀の顔は喜びに満ちていた。

NECは月周回衛星「かぐや」を応援しています。

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