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Voyage03 38万kmの彼方へ

プロジェクト発足から10年の歳月が流れていた。

2007年9月14日、種子島宇宙センター。

JAXA月周回衛星「かぐや」を搭載したH-Aロケット13号機は、38万km彼方の月を目指し打ち上がった。だが、「かぐや」はここからが本番、といっても過言ではない。打ち上げたロケットを徐々に分離・切り離し、最終的に「かぐや」を正確に月の軌道に乗せるまでのいわば「道づくり」という大きな試練が待っている。

「急がば、回れ。」月を知るヒントは、この言葉に隠されている。
ここで、Voyage01の軌道遷移図を思い出して欲しい。
「かぐや」が描く月までの軌道は直線的なものではない。打ち上げ後、地球の周りを2周半周回している。燃料や時間を考えれば、直線的に最短距離でいくことを目指すべきだと思われるだろう。事実、アポロ計画では最短距離を軌道としてきた。だが、様々なミッションシステムを搭載する現代の衛星はトラブルと常に背中合わせになっている。そのため地球を周回させ、その間に起こりうるトラブルへの対処、そして搭載した機器の最終チェックを行っているのである。「かぐや」が行った2周半。この道程もそのためにあった。
この道程は、NECの長く深い宇宙への取り組みが生んだものである。

誤差、十数センチ

旅行に例えるなら、軌道とはその行程表に相当する。いつ、どこで何をするのか。緻密な計算の上に成立した行程表が、「かぐや」にもあった。ただ、あらゆる計算を施しても、宇宙空間という特殊な環境において誤差は生じる。打ち上げ時の速度誤差や、地球、月、そして太陽の重力はもちろんのこと、太陽光の光子によるわずかな圧力さえも、その誤差の原因となる。決められた時間と場所に「かぐや」が向かうため、これらの要因に伴う誤差の修正は必然的に求められる。わずか十数センチの誤差すら月に向かう頃にはキロ単位の差になるからだ。
一度地球を離れたら、月周回に入るチャンスは一度しかない。失敗が許されない局面へ向けて、軌道を修正する作業は数回行われていった。

成功を支える裏舞台

「かぐや」の運用室から最初に見た月の画像

ミッションクリティカルなシーンにはバックアップが必ず存在する。「かぐや」においても例外ではない。軌道修正をはじめとする「かぐや」の軌道計画立案の設備はJAXA相模原キャンパスに設置されていた。しかし15にも及ぶミッションを抱えた「かぐや」の軌道制御タイミングを絶対に逃さないようにするため、同様の設備がJAXA筑波宇宙センターでも稼働していた。それだけではない。気象条件を初めとする様々な要因で期日の変更を迫られる可能性がある軌道計画、それにもバックアップは存在した。仮に不測の事態が起きたとしても、求められたタイミングを実行するための技術力があるNECだからこそ、的確なバックアップが可能であり、ここに「ひてん」 「GEOTAIL」 「のぞみ」 「はやぶさ」と月・惑星探査機を運用してきた知見と資産は脈々と受け継がれている。

機械の分析、人間の判断

「単に軌道計画を出すだけであれば、今の時代、パソコンでも出来ると思います」と、担当者は話す。「その計画通りに遂行できるように軌道を修正できるか、つまり月へ行けるかどうか。そこはノウハウがある私たちだからこそ実現できる領域なんです」
誤差との戦い。ワンチャンスを逃さないための補正。
誤差の存在はコンピュータがある程度はじき出す。だが、そこから先は経験がある人間の判断がものを言う。数多くの人工衛星を製造し、宇宙に届けてきたNEC。宇宙事業における全ての工程において膨大なデータと知見で、SELENEプロジェクトによる重要な局面での正確な判断に協力し、「かぐや」を月に到達させている。
地球から送られる「かぐや」の動きを制御するコマンドは、わずか数十バイト。
だが、その数十バイトにはNECのすべてが詰まっている。

軌道計画を担当したNEC航空宇宙システム 宇宙・情報システム事業部第三技術部のメンバー

経験と技術の結晶

NECは日本で最も長く、深く宇宙事業に携わってきた企業、と呼べるだろう。先述のように半世紀にもわたって連綿と続いてきた宇宙への取り組みが、数多くの人工衛星や宇宙ソリューションを生み出してきた。もちろんそのノウハウは今回の「かぐや」にも惜しみなく活かされている。

たとえば人工衛星のメインユニットである、バスシステム。車に例えると車体にあたる部分で、この上に観測や調査に必要なミッション機器が搭載される。バスシステムは、人工衛星の姿勢や軌道を制御する系統、通信、データを処理する系統、電源を管理する系統、熱を制御する系統など、複数のサブシステムと呼ばれる機能ブロックで構成されている。15ものミッションをすべて確実に実行させるためのバスシステム。その設計・製造に求められるのは最先端のテクノロジーや最新の製品とは限らない。絶対的な信頼性を確保できる技術であり製品であった。
この信頼性と技術が、「道づくり」を成功へと導いたのである。

「かぐや」の軌道投入やバスシステムなどの初期機能確認を経て、
いよいよ本格的な月探査がこれからはじまる。

NECは月周回衛星「かぐや」を応援しています。

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