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  6. 「スペースワイヤ」の本格導入で、大きなアドバンテージを得た
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宇宙科学を支える小さな衛星(ほし)第1回 小さな衛星(ほし)の2つの願い

「スペースワイヤ」の本格導入で、大きなアドバンテージを得た

──“とがった性能”と同時に追い求めたテーマが“標準化”だったそうですね。衛星の作り方を画期的にシンプルにしたいのだ、と。

  • 鳥海:シンプルになりました。衛星の電力や姿勢制御や通信を支える「バス部」は、今回開発したものが今後の小型科学衛星シリーズでも共通化して使われることになっています。そのため、太陽電池パネルの枚数は2、4、6枚から選べ、姿勢制御の方式も選べるなど、非常に柔軟性の高いものとなりました。そしてバス内部、バス部とミッション部の通信には、この衛星で初めて本格的に採用された「スペースワイヤ」という通信規格が使われています。システム構築に関わった竹田が詳しく説明します。

──初採用ですか。それは詳しく聞きたいですね。


  • 竹田:

    写真:NEC東芝スペースシステム マネージャー 竹田 康博NEC東芝スペースシステム
    マネージャー
    竹田 康博

    衛星をスピーディーに作るには、毎回ゼロから設計する、“畑を耕すところから始める”ような、これまでの衛星の作り方では間に合わない。標準的に使い回せる機器群から必要な機器をピックアップし、自在に組み合わせることで衛星システムを成り立たせるようにしたい。

    そういう場合に最適な通信規格はなんだろうかと考えたときに行きついたのがスペースワイヤでした。逆の言い方をすれば、自在に機器を組み合わせてシステムを作るためには、スペースワイヤが鍵だったんです。


──通信規格ということは、衛星を構成するコンピュータやストレージやセンサーが情報をやりとりするときの、「新しい共通語」としてスペースワイヤを採用した、ということですね。どこが優れているのですか?

  • 竹田:従来の衛星システムで標準的に使われていた通信規格などと比べると、非常に柔軟で使い勝手がいいのです。ネットワークを少しでも触った方なら分かると思いますが、配線の接続形態は柔軟に設定できる。情報の行きと帰りのラインが違っても構わないし、通信速度も数Mbps~数百Mbpsで自在に設定可能で、細いケーブルが使える。ノイズにも強いのは当然ですが、機器そのもの送受信モジュールも小さく軽いものが使える。

──パソコンにUSB機器を増やしていくような、あるいはネットワークケーブルでいろんな機器を結びつけていくようなイメージですか。

  • 竹田:それぞれに似たところがありますね。どのくらい作り方がシンプルになったか、開発が終わった後で気づいたのですが、今回は我々のチームで、ひさき(SPRINT-A) の他にASTRO-H(JAXAのX線天文衛星、約2.7t)やASNARO(経済産業省の地球観測衛星、約500kg)に搭載するサブシステムを並行して開発しています。

    以前なら、規模も形もミッションも違う複数の衛星を同時に走らせるなんてことはとてもできなかった。ところがスペースワイヤだと、全く同じアーキテクチャ、全く同じ部品を使って、全く別の衛星システムを作れてしまった。

図版:スペースワイヤネットワーク技術の採用スペースワイヤネットワーク技術の採用
従来型は目的別に計算機を開発していたが、今回計算機を標準化し、必要な機能はスペースワイヤネットワークでつなぐことで衛星の小型化に貢献

写真:スペースキューブ2(小型計算機)

スペースキューブ2(小型計算機)
宇宙用で実績のある部品だけを使い、宇宙機器に課せられるピン間隔や配線幅のルールなどの条件をすべて満たしつつ、大幅に小型化された、低電力・高性能・高信頼性の宇宙用コンピュータ。従来はデータ処理や姿勢制御にそれぞれ専用のコンピュータが使われていたが、「ひさき」では同じハードウエアが4機積まれ、衛星の生死に関わる姿勢制御を含め、異なる仕事を受け持っている。

──画期的じゃないですか!

  • 竹田:新しい衛星の作り方を示せたし、衛星を作る上で大きなアドバンテージを手にすることができたのだと思っています。また今後、大学の研究室がインハウスで作った機器などもスペースワイヤを介することで衛星システムに簡単に接続できると思います。

──「宇宙への敷居を下げる」のは間違いないですね。

  • 竹田:そうなんですね。さらに実績を重ねれば信頼性も増し、コストも下がり、競争力も増すはずです。今回の開発では部品製作や、搭載したソフトの開発もNECグループで手がけました。デバイス開発も装置設計も試験システム構築も、もちろん衛星システムそのものの製作も、すべてをやり切れる。これは強みだと思っています。
    今回の成功が普及の起爆剤になってくれればと期待しています。

──なるほど。


  • 鳥海:いわゆる、デファクトスタンダードに大きく近づく成果だったと思います。大学や研究機関などのユーザーコミュニティを後押ししながら、このスペースワイヤを広めるために強力に推していきたいと思っています。

スペースワイヤは、コスト削減・納期短縮・技術蓄積・信頼性向上などを目的にESA・JAXA・NASAなどが連携して標準化を進めている宇宙機器ネットワークの国際規格。国内では日本SpaceWireユーザー会が設立され、JAXA・大阪大学が中心となり、機器開発やインタフェース規格の普及等を促進。NECはASNARO・ASTRO-H・はやぶさ2などの大小さまざまな衛星システムへの採用を積極的に進めるとともに、スペースワイヤ関連製品の開発や規格普及にも貢献。

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