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若き指揮官が語る小惑星を目指す旅のはじめの一歩

「カメはたいへんだったはず」

Q:そしていよいよ11月から、スイングバイに向けた軌道制御が始まりますね。


「はやぶさ」初号機のときにはなかったすばらしい技術が使えるようになっています。「デルタDOR」※と呼ばれる、精密な軌道決定の技術です。すごい精度が出ますよ。

  • デルタDOR:遠く離れた2局の地上アンテナで電波を同時に受信して信号の受信時刻差を計測することにより、天球面上の探査機の位置を計測する技術。ピコ秒(1兆分の1)レベルの時間差を読み取ることで、ナノラジアン(10億分の1)単位の角度の差を知ることができる。
    詳しくはJAXA「はやぶさ2」コラム「第11回軌道決定・DDOR(ファンファンJAXAのページへ)」参照

Q:あんなに広い宇宙にいるのに数百メートルの精度で位置が分かるそうですね。解説資料には「東京から富士山頂にいるダニ(体長0.1~0.7mm)を見分ける精度」とありました。ダニはともかく、びっくりです(笑)。


探査機からの電波を外国と日本のアンテナで同時に受信し、それぞれ100ギガバイト以上になる生データを重ね合わせ、精密に時間差を読み取ることで軌道を求めます。それぞれのアンテナの位置を、ミリ単位で正確に把握していないとこの精度は出せません。ものすごく地味で地道な作業ですが、得られるデータがすばらしい。非常に心強いツールです。


Q:スイングバイで地球に再接近するのは「日本時間の12月3日(木)19時7分ごろ」とのことですが。


再接近点はハワイ上空の高度約3100km。高度3万6000kmの静止衛星などよりはるかに近いところを通ります。その直前には、日本からも大きな望遠鏡を使えば見える可能性があるので、観測にチャレンジしてもらおうと軌道情報を公開しています。

スイングバイ時の「はやぶさ2」の直下点の軌跡スイングバイ時の「はやぶさ2」の直下点の軌跡

「地球スイングバイ」解説ページはコチラ


Q:ここでいよいよ「海に入る」わけですが、物語では海に入ったらアッという間に龍宮城に着いてしまいます。この先の「はやぶさ2」の旅はどうなりますか?


物語には書かれていませんが、きっとカメはたいへんだったと思います(笑)。背中にお客を乗せ抵抗が大きいところで、ずっと手足を掻いて推進力を出さねばならなかった。


Q:考えてみればそうですね(笑)。


幸いここまでは順風満帆で来られました。でも問題は必ず起きると思っています。行ったことのない場所に行くわけですから、ゼロから10まで計画どおりに行くはずがない。打ち上げ前も含め徹底した準備を行ってきましたが、思いつくトラブルに関しては全て対処できるよう、さらに万全にして臨むということしかありません。


Q:では、思いもつかないトラブルには?


このチームなら克服できる、というチームに仕立て上げることが私の大きな仕事です。往路の半ばぐらいまでにやらなきゃいけないことだと思っています。


Q:力強い言葉を、ありがとうございました。

2015年10月15日 取材
(インタビュー・構成:喜多充成

取材後記

写真

12月3日の地球スイングバイは計画通りの成功を収めました(JAXAプレスリリース 小惑星探査機「はやぶさ2」の地球スイングバイ実施結果について)。唯一の懸念は機体が日陰に入ることでした。ミッション期間中、探査機に太陽光が当たらなくなる状況は他にはないからです。

写真は地球の影から出た「はやぶさ2」の電波を、NASAのキャンベラ局(オーストラリア)で捉えた頃の管制室内を写したものです。
この後、探査機の健康状態を確認したとの津田プロマネの宣言で、管制室内に拍手がわき起こりました。
「リュウグウ」を目指すこれからの旅におけるカメの水かきに当たるのが「イオンエンジン」です。初号機「はやぶさ」の経験を受け継ぎ大きく進化したイオンエンジンの、静かな奮闘ぶりが、期待されます。(喜多充成)

スイングバイ後に南半球側から撮影された地球。
白い部分は南極大陸。(2015年12月14日発表)

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