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関西から宙(そら)へ~「はやぶさ」を継ぐもの~

ロケットガール誕生の陰に

今度は、秋山さんの話をうかがいたいと思います。

  • 秋山:私は、和歌山大学の宇宙教育研究所に2010年4月から勤務しています。その前は、「はやぶさ」や月周回観測衛星「かぐや」のプロジェクトメンバーでした。宇宙教育研究所の開所式で『はやぶさ(帰還)の生中継をやらないか』という提案をしました。

    その企画が通って、3名のスタッフが現地に入り、ストリーミング生中継をしました。もし、ぽしゃったらどうしようとすごく心配していましたが、現地の日本人の方々の協力もあり、無事ストリーミング中継行なうことができました。

    Googleトレンドで見るとピーク時には何と65万人もの人がこのサイトを見ていたということです。「はやぶさ」プロジェクトマネージャの川口先生もこの中継を見ていたと感想を述べてくださっています。非常にうれしい出来事でした。映画の1シーンにも取り上げてもらいました。

    さてここで、なぜ私が研究から教育へシフトしたかのお話をします。
    2003年頃は宇宙プロジェクトが少なくて、なかなか新しいミッションが始まらないので、若い人材を育てることもできませんでした。

    写真:和歌山大学 特任教授 秋山 演亮 氏

    私にはこうした状況が続くのではないかという危機感がありました。この国には自分の責任下で失敗を恐れる文化があることや、過去に例のあるものと限られた想像力の中でしか考えられないような教育にこそ問題があるのではないかと思ったのです。そこで、人を育てることに力を注ごうと考えたのです。

    そのころ東大や東工大などの学生がつくった1辺10cmの小型人工衛星「CUBEサット」が打ち上げられました。自分たちで宇宙に行くものを全部つくってしまおうという新しい試みを大学が始めていたのです。いきなり「CUBEサット」をつくるのは大変なので、その前段階として、宇宙へは行けませんが、空き缶サイズの衛星をつくって、およそ100mまで打ち上げる「缶サット」というイベントを立ち上げました。

図版:缶サットとは?

  • 小笠原:なぜ空き缶が「なっちゃん」なの?
  • 飯山:あまり深い意味はありませんが、この顔かわいいいでしょう。これをサントリーの人が見て、『面白いじゃないか、毎年お金を出すので高校生でやらないか』と、缶サット甲子園を支援してくれることになりました。今年で6年目になり、30校以上の高校が参加しています。今年は8月に北海道で全国大会を行います。

図版:缶サット競技 イメージ図缶サット競技 イメージ図


  • 缶サットのミッションは、皆がチームで心を一つに合わせて取り組むことを教えましょうというものです。高校生に「何でもいいから、格好いい衛星をつくれ」といつも言っています。
  • 小笠原:もう1つ、秋田大学でも、おもしろいことやってましたよね。
  • 秋山:私が秋田大学に教員として行ったのは2005年でしたが、1955年糸川英夫先生が秋田県の道川海岸でペンシルロケットの飛翔実験を行っています。それからちょうど50周年目になるので、何かやりましょうと言いに行ったら、「秋山お前代わりにやれ!」ということになり、50周年を契機に「能代宇宙イベント」を開催するようになりました。
  • 小笠原:それはすごい、秋山さんは糸川先生の正式な後継者ですね。
  • 秋山:正式な後継者というより、“野次馬”という感じです。来年で10年目になります。全国の十数大学から300~400名が参加し、見学者も3,000~4,000名規模になりました。
  • 小笠原:このイベント、テレビ中継はないのですか?
  • 秋山:そうなんです、やっぱりテレビ中継きてほしいですよね。そこで、テレビが取り上げてくれるようにと考えたのが女子高校生にやってもらうことです。「ロケットガール養成講座」ということで、文部科学省の女子中高校生理工系進路選択支援事業としても採択されました。大学生のサポートを受けた女子高校生がロケットを製作するという企画なんです。これをやった瞬間に狙いどおりテレビ局がのこのことやって来ました。テレビ局は現金ですね!(笑い)

    この企画は、打ち上げ成功が目的ではなく、高校生たちが自分のやりたいことを考えて、実際のものづくりを通し、その面白さを学んでもらうのがねらいです。ですから「勝手につくりなさい」と言い、私が具体的に作り方を教えることはありません。

    このような企画に参加し、考えたり、チームでいろいろなことをするといった経験を通して育った学生たちが、社会に出てからも将来いろいろやってくれることで、世界を変える人になってほしいと思っています。

図版:ロケットガール養成講座

  • 秋山:日本では、学生がロケットを打ち上げられるところは、北海道、能代、和歌山の加太、伊豆大島の4か所くらいしかなく、和歌山大学が加太と伊豆大島の2ヵ所を管理しています。この場所で、全国の高校生、大学生が参加できる形をとっています。
  • 小笠原:皆さんのお子さんで、ロケットをやりたいという人がいたら、男性・女性を問わず、ぜひ和歌山大も進路として考えてほしいですね。
  • 飯山:私が個人的にやりたいと思っているのは「大人の自由研究」です。私は科学館という市民の皆さんがいらっしゃるところで仕事をしてます。市民の皆さんは、勉強したいという気持ちをたくさん持っていらっしゃって、それはとても大事ですが、ただ勉強するだけじゃなくて、プロのその中で研究者のお手伝いになるような研究活動ができないかなぁと考えてます。

    写真:大人の自由研究

    「はやぶさ」には、科学観測機器が搭載され、得られたデータはチーム以外の人にも公開されています。その研究支援として、例えば石を見て、これがイトカワのどこだか分かればすごいことです。

    石のサイズは何十センチのものです。写真の太陽電池パネルの影の大きさと比較すると、30~50cmくらいですね。このような石をテーマにすることです。人海戦術で100人から1,000人集めてみんなでイトカワの画像を見てるだけでも面白いものが見つかるのではないかと思ってます。

  • 小笠原:例えば、どんなものがありそうですか?
  • 飯山:自由な研究なので、例えば、座り心地のよさそうな石を探すコンテスト。地球の石が欠ける理由は分かっていますが、イトカワには石の欠ける要因がありません。誰が削ったか、どうしてできたかの疑問がありますが、まずそうした石を見つける必要があります。このように市民が人海戦術で「これって、面白いんじゃないの」というものを見つけまくったら、楽しいのではないかと思います。
  • 小笠原:人面石を探すのも面白いと思います。(大笑い)
  • 飯山:

    写真:大阪市立科学館 学芸員 飯山 青海 氏

    探すと、必ず見つかります。しかし、それを最初に掲げてしまうと、あらぬ方向に行ってしまう可能性があるので、もう少し真面目そうなふりをしつつ研究に誘う。これくらいの気安さで取り組みたいと思ってます。こんな風にお酒でも傾けながらね。

    もう一つやりたいと思っているのが、日本のロケット、宇宙への挑戦の歴史を映像作品化することです。

    1970年、4回の失敗を乗り越えての「おおすみ」打ち上げ成功。1999年のH2型8号機の打ち上げ失敗、そして原因究明と改良。2000年のM-V 4号機の打ち上げ失敗と、多くの失敗を乗り越え、たくさんの成功をつかんできました。これを映像作品にするにはお金がかかりますが、私の野望としてやってみたいと考えてます。

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