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スペシャルインタビュー 「はやぶさ2」とその先に見えるものは

近すぎる太陽に冷や冷や

Q:そのあとはずっと、予定した通りの軌道を物理法則に従って粛々と飛んでいたわけですが、「熱」による劣化が最大の懸念だったと……。


予定より太陽に近い場所を通るため、設計で想定した以上の強い紫外線と太陽輻射(太陽熱)にさらされることになりました。金星の軌道半径は約0.7AU*ですが、この軌道で太陽に最も近くなる「近日点」が0.6AUとなります。
(※1AUは地球と太陽との距離、約1億5000万km)


Q:0.7AUが0.6AUへ、0.1AU近づくだけですが、大きな違いが?


1m²(平方メートル)当たりの熱入力でいうと、1AUの地球近辺では約1400W(ワット)/m²。設計上は0.7AUの金星周回軌道上で2649W/m²と想定し、2800W/m²を最大値と考えていました。しかし0.6AUの近日点で受ける熱入力は、3655W/m²・・・・・。


Q:えっ、1000Wもオーバー!?


近日点のたびに探査機各部の温度が上がり、近日点ごとにそのピーク値が高くなっていくのを、冷や冷やしながら見守っていました。もともと「あかつき」は、地球と金星の両方で生き延びられるような設計の探査機なんです。地球を飛び立った直後からスイッチを入れ、金星でその2倍の熱を受けてもちゃんと機能するようにつくられています。


Q:同じ服装で冬も夏も……。


そうです。でも、そうすると金星より高温になる側でのマージンが小さい。もとより3655W/m2なんて、設計では想定していない熱入力です。


Q:地上からできることは?


探査機の姿勢を保つぐらいしかありません。地上での試験では、熱をさえぎるためのMLIと呼ばれる金色のシートの劣化の度合いを見ることができた。おそらく「あかつき」のMLIは、劣化して飴色になっているだろうと思います。真っ白だったハイゲインアンテナも真っ黒になっているでしょう。でも、機能は何とか保ってくれました。

写真


Q:何が良かったのでしょうか。


運ですね。運がよかった。0.6AUより近かったら、もう危なかったでしょう。近日点の通過は9回あり、探査機の温度のピーク値も上がってはいたのですが、徐々にその上がり具合がなだらかになっていった。6回目か7回目を過ぎたあたりから「何とか持つかもしれない」となり、最後の9回目の今年8月30日を無事乗り切った。


Q:息の詰まるような旅路だったんですね。


NECの熱設計担当者にがんばって計算してもらったシミュレーションでは、当初の設計想定より探査機各部の温度は5~10℃高い状態で金星周回軌道に入ります。赤外線カメラや通信機など運用に制約が出るものもあるが、ぎりぎり大丈夫であろうという状態です。

写真探査機各部の温度履歴

画像

「あかつき」各部の温度(~2013)と探査機への熱入力(2010~2016)太陽からの熱入力は距離の二乗に反比例する。近日点を迎えるごとに最大で地球の2.6倍、金星の1.3倍という、設計マージンを超える熱入力にさらされ、機体各部の温度も上昇した。

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