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届け、あかつきの星へ 第5話 「あかつき」の旅路を見守るまなざし

順調に旅が始まった「あかつき」

Q:探査機の組立や試験の段階では、緊張の日々が続くわけですが、実際にFMが組み上がって試験も終わり、打ち上げを待つ時期となると、プロマネとしては少しリラックスできるようになるのですか?


打ち上げは打ち上げで、一回限りで失敗のできないビッグイベントですから。だんだん緊張が高まってきます。

2010年5月21日、H-IIAロケット17号機で「あかつき」は打ち上げられた。2010年5月21日、H-IIAロケット17号機で「あかつき」は打ち上げられた。


Q:でも、その段階でできることは、あまりないわけですよね?


探査機本体に関してはそうですが、打ち上げ後の運用の準備は入念にやります。最初に電波がキャッチできるタイミングを「第1可視」と呼びますが、そこで何をやるか。第2可視、第3可視ではどうか。その手順を何度も何度も見直します。あとはコンティンジェンシープランです。


Q:緊急事態への対応ですね。


万一問題が起きたときのインパクトの大小や、それが運用者からどう見えるか、どのようなことが見えたらどう行動するか、といったことをあらかじめ考え抜き、計画しておきます。


Q:「あかつき」の打ち上げでは?


「あかつき」に限らないのですが、探査機/衛星の打ち上げで一番気がかりなのは、まず太陽指向をして、太陽電池を開いて、その太陽電池の電力で動いているかどうか、です。第1可視で探査機の情報が見えてきたとき、バッテリを使っている「放電モード」だったら、すぐさま対処しないといけません。


Q:どんな手を打つ?


いろいろなケースがありますが、例えば、太陽電池が開いていなければ開くコマンドを再度打つ。ラッチ(留め金)が外れていても展開していないのであれば機体を揺らす。あるいは、太陽電池は開いていても太陽指向していなければ、太陽サーチを開始するコマンドを打つ、などです。考えうるケースごとにメンバーで議論し、シナリオを用意し、できるだけ当日は事象を見たら迷わず動けるよう準備をします。


Q:2010年5月の、実際の「あかつき」の打ち上げでは、いかがでした?


第1可視でテレメトリ(探査機から送信されてくる各部のデータ)を見たところ、きちんと太陽電池が開いて、その電力で探査機は動き、放電もしていない。それを確認してホッとしました。


Q:軌道投入の精度も良く、比較的早くに地球を撮影した写真が公開されました。順調な旅の始まりでしたね。


はい、その通りです。


Q:では、その年の12月の金星周回軌道投入のときは?


主エンジンを噴き始めたところは、ドップラーモニタ(地上受信電波の周波数変化を捕える精密な速度計)で地球からも状況が見えていました。探査機の速度が予定通りに変わっていくのを見て、みんなで「ああ、順調だ」と。


Q:その後、金星の陰に探査機が入ってしまう。


いったん電波が途絶え、ふたたび電波が届くのを待つことになるのですが、予定時刻になっても電波がキャッチできませんでした。いったい何が起きているのかを考えるのが最初でした。行方不明の「はやぶさ」初号機を探した経験もありますので、臼田*とも連絡をとり、スペアナ**を使って電波を探しました。

  • 臼田:JAXAの深宇宙通信用大型アンテナのある、長野県佐久市の臼田宇宙空間観測所
  • **スペアナ:スペクトラムアナライザー。周波数毎の電波の強さを画面に表示する装置

結果的にはDSN(Deep Space Network)での運用時に電波が見つかり、そこから、復旧のため、シスマネの榎原とディスカッションしながら、さまざまな手を打つことになりました。

中間赤外カメラ(LIR)中間赤外カメラ(LIR)

(青い半月)紫外線イメージャ(UVI)紫外線イメージャ(UVI)

(オレンジの半月)1μmカメラ(IR1)1μmカメラ(IR1)

打上げ当日の20時50分ごろ、約25万kmの距離から観測機器の状態確認のため地球を撮影

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